こかむも「クロシオカレント」

キタランド・ゴシックの器械先生がツイッターで紹介していたのをきっかけに読んだマンガ。

歩くカツオ、人に乗り移った魔神、ダムに住む怪獣など、奇っ怪な存在が紛れ込んでいる高知県が舞台のお話。

魔術的リアリズムというか、不思議な存在が常識として紛れ込んでいる様を楽しむ日常系マンガかと思いきや、2巻以降「この世界は普通ではない」ことが示されていく。

今のところは様々な形の「縁」を取り扱いつつも、色々なキャラののお話を交互に進めていく群像劇的構成なので、基本的には雰囲気を楽しむマンガだと思う。

登場するキャラがみんな魅力的なのだが、中でも好きなのは、自らをお嬢様と任じたが故に清く気高く美しく振る舞う東堂院マナお嬢様(ガチャ廃人)と、かつて魔女に恋したが道を違え、現在はマナお嬢様に仕えるじいさま(ギャンブル中毒)のコンビ。

私は自分がどうあるかを自分で決める系のキャラが好きなのでマナお嬢様は当然好きなのだが、じいさまが一度は人外と共にいられないと覚った後に、役割を演じることで人間のままで桁外れの能力を発揮しているにどのような感情で付き合っているのか、とても興味深い。

9th Sentinel Sisters アーリーアクセス感想

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・たのしい

・ヴァンサバ系ロボットアクションシューティング。基本的に自機移動と照準方向のみを操作する2レバー操作

パイロットの女の子を3人から1人選ぶことで初期武器が変わる

・私は金髪サイドテールの元気少女が好きなので初期キャラの紗一華が好みなのだが、武器が近距離連射型のサブマシンガンで癖がなく、やや地味

・エイムが必要なのでヴァンサバほど脳死でプレイ出来るゲームではない

・無強化では最初の中ボス面が倒せずに苦労したが、3回ほど死んで基礎能力を強化したらラス面以外では苦労しなかった

・そうは言ってもラス面近くの物量攻勢はかなりのもの

・敵は基本的には体当たりしてくるだけ。高速で自機狙いしてくるもの、物量でゆっくり攻めてくるもの、ギミック的に自機を無視して移動してくるもの、などのパターンをさばいていく

・近づいてくる敵を倒す護身用武器(ショットガン、エネルギーフィールドなど)と、効率よく敵を倒す貫通・爆発武器(レーザー・バズーカなど)をバランス良く取りたい

・最終レベルは80位なのでレベル50位までに武器・パーツをそろえたい

・全方位から突っ込んでくるザコを完全に避けきるのは無理があるのである程度はHPリジェネ能力が欲しい

・戦闘ステージは全て2~4分生き残る形式。AAだから仕方がないが流石にボス撃破などのバリエーションが欲しい

・なんにしろ製品版が楽しみ

優しい黒 heisoku「春あかね高校定時制夜間部」

定時制夜間部の高校に通う、ちょっとはみ出したおおむね普通の高校生たちが送る日常系マンガ。

脳天気に見えて家庭環境からかしっかり将来を見据えている山岡はなお。精神病院での長期入院から退院した鉄黒よしえ(40)。人懐こい笑顔の中からふとした危うさを見せる雨森みこ。などなど各キャラクターともとても魅力的なのだが、このマンガの魅力はなんと言っても黒の使い方だと思う。

作者の前作「ご飯は私を裏切らない」も、悲観的なお話で黒いコマが多いにもかかわらず、底の所では絶望に染まっていない感じがあった。

本作も夜間部という設定もあって黒いコマが多いのだが、どこか包み込むような暖かさを感じる。下のコマとかは象徴的だが、黒に黒だけでない色を感じる。

精緻に背景を書き込むタイプのマンガではないのだが、トーンの使い方がすごく旨いのだと思う。(技術的なことは全く分からないのだが)

兎も角、夜間部という題材はheisoku先生の画風にもあった素晴らしい題材だと思う。是非続いて欲しい。一人でも多くの人にこのマンガを読んで欲しい。

type-100.hatenablog.com

 

『君たちはどう生きるか』 感想

いや、映像的には面白かったですよ。

火事とかアオサギの飛ぶ描写とかお父さんのコミカルな動きとかダットサンとか戦車とか自転車とか。父と後妻に馴染めない真人の細かい芝居もすごく良かった。

そういうのもあって前半の現世パートとキリコさんまではかなり楽しんでみたんですよ。母を失って環境が急激に変化し鬱々としている少年がどう変わっていくのか興味深く見ていた。キリコさん魅力的だったね。

けどその変わる過程に納得感が全然なかった。特に夏子さんを「お母さん」と呼んだところ。なんで急にそう呼ぶ気になったのか全然分からない。キリコさんとヒミには「父の好きな人」と言ってるわけで。

キリコさんと輪廻転生のプロセスを体感してヒミと出会って火のトラウマを払拭して、母への未練を一旦断ち切って夏子さんを個人として承認する、みたいな話であればギリギリ理屈としては理解出来るけど、そっから母として家族として承認するのはもう一段階いるんじゃないの? せめて現世に帰還してからのほうが良くない?

君たちはどう生きるか」を読んで変わったんだって他人の感想を読んだけど、弓作り始めたのは本読む前だしなあ。

ヒミは……母であり少女っていうおいしい存在なんだけど、両者がまだらに混じりすぎていてどうも生理的嫌悪感が強かった。息子と分かった上であの距離感で振る舞ってるのマジ? 庇護者然とするか、平行世界上の少女とするか、どっちかの描写に寄せて味付けとして別の側面も見せるぐらいのバランスがよかった気がする。

映像的にも後半になるにつれて見せ場がなくなり、どうにも消化不良な印象。せめて最後、崩れゆく世界を魅力的に描いてくれたりしてくれればと思ったんだけど、そういうサービス精神はもう宮崎駿には無いのか。

片岡大右「小山田圭吾の「いじめ」はいかにつくられたか 現代の災い「インフォデミック」を考える」

初めに書いておくと、私は音楽に余り関心がなく世代もやや外れているため、記憶の限りでは小山田圭吾氏の楽曲をフリッパーズギター時代もコーネリアス時代も全く聴いたことがない。そのため小山田氏の音楽活動に対しては良い印象も悪い印象もないし、今後氏が音楽活動をもっと積極的に行ってほしいとも、行うべきではないとも思わない。

次に自分語りをすると、解任騒動当時、私は世間やSNSの熱狂よりはやや冷めた目で見ていたと記憶している。当時の自分のはてブを振り返ってみたが、揶揄するようなコメントはあっても小山田氏や五輪組織委を強く批判するようなコメントは無かった。もともと東京五輪自体に対して否定的だったので、このような騒動が起こったこと自体に対してはいい気味だとは思っていたかもしれないが。数年前からゴシップ的な出来事にはあまりブコメをしないようにしていたこともあっただろう。

いじめ紀行を再読して考えたこと 03-「いじめ紀行」はなぜ生まれたのか

2はまだ言いたいことは分かるが、3は最悪だなあ。

2021/07/25 18:56

b.hatena.ne.jp

関連して北尾修一氏を批判するブコメはあったが、記事が消えていたのでウェイバックマシーンで読み直したところ、推測に推測を重ねる北尾氏の文章に対する批判であって、解任騒動そのものへの感想ではなかったかと思う。

私は背が低くひ弱な子供だったので、基本的にはいじめられっ子だった。しかしある事情から一度自分がいじめに加担した記憶も鮮烈に残っている。その事情がなければ私は自分がいじめに加担したことを次の日には忘れていただろうと思う。

だから私は、目の前でいじめが行われていればそれは止めるだろうが、ネットの向こうで行われている誰かと誰かのいじめに対し、ネットであれこれ言う気にはなれない。

 

さて、ようやく本書の内容だが、小山田氏に思い入れない身からすると、著者の情熱的で雄弁な語り口ははっきり言って閉口させられた。

QJの「いじめ紀行」に参加したことで小山田氏の行為が「いじめ」として問題化されてしまったという主張も、ROJ時点で氏本人が学校でのいじめとして語っている以上あまり説得力を感じない。

障害を持つ生徒との交流に紙幅が割かれているにもかかわらず批判者がそこに注目しないことへの不満も分かるが、加害者側の思い入れがいくら語られても被害者側がどう思っていたか分からないという側面もあるだろう。

ROJでの露悪的な物言いがQJでは軌道修正されているのは確かだが、後から言った修正が正しい保証は何も無い。

 

しかしそれでも、一度「いじめ」という概念で問題化されてしまったが最後、実態にまるで関心を払わずに抽象的なバッシングが加速するインフォデミックの問題はやはりあるだろう。

小山田氏の主張を信じるならであるが、氏がおこなった「あの程度」のいじめは、犯罪とか人非人とか言われるほどのものだったとは、はっきり言って私には思えない。もちろん氏の主張を信じる必要は無いが、その場合批判者はどのような根拠に基づいて批判しているのか。

またロマン優光氏や吉田豪氏が鬼畜系文化を引き合いに出して解任騒動を解説し、結果的に鬼畜系の問題を相対化しているという批判ももっともであると思う。

ROJのカラーに合わせていかにもヤンキー的な武勇伝を小山田氏が話し、編集が誇張して演出したという見立てはある程度説得力があるとおもう。そこで演出された「悪さ」とゴミ漁りや食人などのタブーを相対化して見せる鬼畜系の「悪さ」は質的に異なるものだろう。

引っかかるところは多く、爽快な読書体験ではなかったが、それでも本書が出版された意義はあると思う。

ともつか治臣「令和のダラさん」

 

年末年始は積み本をちまちま崩していたが、その中ではこのマンガが一番面白かった。

土砂崩れで祠が崩れたことがきっかけで知り合った蛇神・屋跨斑(ヤマタギマダラ)ことダラさんと、現代っ子のきょうだい(政治的に配慮した表現)の交流を軸とした伝奇コメディ。

ダラさんがなぜ蛇神になったのかという過去編をザッピング的にちょこちょこ挟む構成で、そちらではコメディ色を消している。身体的なギミック以外はちょっと変わってるだけのキャラになりがちなモン娘ものにおいて、モンスターとしての恐ろしさを描写しつつ、人間的な交流も可能ないい演出だと思う。

で、過去編が続き物なのに対して現代編は基本一話完結のコメディのため、ともすれば現代編の方が邪魔になりかねないところ、登場人物の味がとにかく濃いため飽きない。化物のはずのダラさんが周囲に振り回されるという展開が無理なくできている。

連載分では過去編はそろそろ終わりそうなので、その後どういう展開をみせるかも楽しみ。

ブルーアーカイブメインシナリオ2-2「友情と勇気と光のロマン」 雑感

名前のあるミレニアムキャラ総出演で満足感高かった

  • コユキですら一応言及される。
  • ミレニアムの生徒はどこかやどこかと違って最低限の常識と道徳は持っているので、ちゃんとみんなで話し合って協力できるのである。
  • その分エデン条約編に比べると先生の活躍は薄め。
  • ミドリも少々割り食ってた気がする。戦闘はC&Cとエンジニア部がメイン、モモイはムードメーカー、ユズは弱点に気づく場面があったので。前編でリオからアリスを庇うシーンはあるのだが。
  • ミレニアムにはエージェントとしてのC&Cはあっても普段から活動する風紀委員会は無いんだよね。リオはビッグシスターと言っても風紀を気にするタイプには見えないし、情報だけ管理して危険分子を即座に叩けばいいという主義なのだろうか。一応警察はヴァルキューレがあるし。一応。

スチルの使い方が豪華

  • 予告のビル壁面のシーン、てっきりアレで決着なのかと思ったよ……。

ネルがかっこいい

  • あの凶悪な顔よ
  • トキもかっこいい

惜しかったところ

  • エリドゥは設定として魅力的なのでもっと見たい。要塞都市にしては普通のビルが多そうだけど、廃墟を改築したのかとか、いずれは多くの人間を生活させる気だったのかとか。リオの去就と合わせて使われることもあるかもしれない。
  • ミドリの光の剣の下りとかダイブ施設とかは唐突に感じた。
  • ネルの画質はなんとかならんかったか。ちょっと笑ってしまった。