久保田成子展 東京都現代美術館

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ぶらっと都現代美術館に行って、三つある展覧会の内一番空いていた久保田成子展に入ったんですが、面白かったですね。

映っている映像の内容ではなく、何かが映っている画面がそこにあるというのが印象的。画面は現実に生まれた裂け目であり、そこから何かが染み出してくるものなんですよね。

全く同じ映像を見せられても、その画面が異なった場所にあれば当然異なって見えるんですよ。複製芸術が複製であるのは見る側が同じようにしか見ないからではないか、というようなことも考えさせられました。

誰が妊婦を言祝ぐのか 橋迫瑞穂「妊娠・出産をめぐるスピリチュアリティ」

 

妊娠・出産は女性の身体性が超越性とのつながりを、自分自身だけでなく周囲にも提示する役割を担うものと言えよう。

橋迫瑞穂. 妊娠・出産をめぐるスピリチュアリティ (集英社新書) (Kindle の位置No.2055-2056). 株式会社 集英社. Kindle 版. 

理論化された世界宗教は、しばしば妊婦に冷淡である。ケガレや欲の象徴として、妊婦は祈りの場から遠ざけられる。では何が妊婦を社会の中で価値あるものとして称揚してきたかと言えば、もっと土着的な宗教や、共同体主義的な価値観だろう。

土着的宗教・共同体主義的価値観が力を失った後代替として現れたのが、本書で紹介されるようなスピリチュアリティなのだと思う。

そして女性の権利を拡大してきたウーマンリブ的なフェミニズムも、妊婦をうまく位置づけることができなかった。差別を撤廃すれば男女が本質的に対等であると考えるフェミニズムにとって、女性にしかできない仕事である妊娠・出産はイレギュラーな出来事である。

女性の自己決定権のため、育休制度などを勝ち取ってきたフェミニズムの活動は素晴らしいものだと私は思っている。しかしそのなかではどうしても、妊娠出産は本来のキャリアの合間の「腰掛け仕事」になってしまう。そういう意味で森岡正博氏が帯に書いているように、妊娠出産はフェミニズムの落とし物なのだ。

対照的にスピリチュアリティは身体性に基づく、本質的な男女の違いを強調する。フェミニズムジェンダーを前提にした女権拡張運動なのだとしたら、スピリチュアリティはセックスを前提にした女権拡張運動なのだ。

TERFとTRAの対立など他の場面でもジェンダーとセックスの対立を感じることは多く、そういう意味でも興味深く読んだ。

ワクチン副反応

先日モデルナの職域接種を受けた。

1回目は多少腕が腫れたぐらいで問題なし。

2回目は接種翌日に39度の熱。猛烈な倦怠感と関節の痛みがあり、寒気と暑さが交互に来る。食欲はあまりなかったが無理してうどんを食ったら、出汁の味が全くしない。あんな不味いうどん初めて食った。接種時にもらったカロナールが無くなったので常備薬の消炎鎮痛剤も飲む。

その翌日も関節炎は残ったが概ね回復。

しかし具体的にどこが悪いわけでもないがなんか疲れやすいな、ぐらいの調子の悪さが10日ほど続き、その後肌がめちゃくちゃ荒れて倦怠感が酷くなった。

元々アレルギー体質だが、ここまで悪くなるのは10年ぶりぐらいなのでかかりつけの病院行く。

すると10日ぐらいでまた副反応が出る人が結構いると聞かされる。←イマココ

正直なところ、また同じような症状が出るなら予防効果があったとしても3回目の接種はしたくないという気持ちがある。

そうは言っても実際に3回目の機会があったら打つのかもしれないが。

丸井諒子「ダンジョン飯 10巻」

 

ダンジョン飯 10巻 (HARTA COMIX)

ダンジョン飯 10巻 (HARTA COMIX)

 

 

 

65話扉絵のうさぎバレリーナマルシルがかわいい。ずいぶん長く続いている気もするけどまだ60話代なんだね。あとカレー食べてる時のファリン(上半身)も。

覚悟を固めたライオスが今までになく格好良く見えるが、それは翼獅子の誘いに一直線に嵌まっていくことでもある。

マルシルの願いを聞いた後の、翼獅子の黒目がゆがむコマ。悪魔の象徴たる山羊の目に変わる瞳に変わるイメージなのかな?

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定番だが、全ての人種の命を縮めるような形で願いを叶えそう。とはいえ、翼獅子の邪悪さは、エルフたちによって一方的に語られている面もあるので、今後もう一度ひっくり返されるかもしれない。次巻が楽しみ。

縁山「家庭教師なずなさん」①②

 

   闇のフィクサーだった祖父の遺産を受け継いだ孤独なお坊ちゃま、暦甲子太郎(こよみ・かしたろう)と、押しかけ巨女金髪縦ロールスパルタ家庭教師メイド、蠅江(さばえ)なずなが主人公のドタバタコメディ。

 みどりやまじゃないよへりやまだよ。どりんちょといい縁山縦ロール好きだなあ位の気持ちでジャケ買いしたら結構面白かった。縁山だけどそんなにエロくないよ。どのキャラもフェチの塊ではあるけど下品ではない。

 それより実は高性能だけどコンプレックスまみれの甲子太郎様を愛でる漫画。縄抜けできるしナズナさんを柔術で投げ飛ばせるし肉体的にはハイスペックだよね甲子太郎様。

なずなさんを始め追加の押しかけ部下の面々も方向性は違えど坊ちゃまLOVEな面々なので面々なので嫌みがない。

 2巻までのキャラでは兎宮が一番好きなんだけど、なんか思い出すと思ったら坊っちゃんの清だわ。盲目的な信奉者だけど無私で心根は清いっていいキャラだよね。

heisoku「ご飯は私を裏切らない」

 

ご飯は私を裏切らない (角川コミックス・エース)
 

多くの命にとって普遍的な死とは 食われて死ぬか病で死ぬか飢えて死ぬか

私もいずれ困窮の末にその中に加わるだろう 勇気を持て!!

百獣の王だって 最後は孤立して餓死!!

 29歳中卒友達無し恋人無し職歴無しの主人公ちゃんがバイトとバイトの間にご飯食べる話。食べることから始まる、内省的な精神世界の話が良い。

 食欲って一番基本的な「生きるため」の欲じゃないですか。そこを内省的な話につなげるために、①理性を飛ばすための酒は出さない②画力はあるのにメシを上手そうに描写しすぎない③繰り返し動物トリビアを出してくる、とか計算されて描かれてて作者頭良いなあと思うんですよ。

 いや、俺は結構ご飯に裏切られてるけどね。うろ覚えのレシピで失敗したり、カキでノロに中ったり。けど自炊が精神衛生上良いというのは分かる。自分の面倒を自分で見る基本的な要素だからね。

白川雷電「黒鉄の太陽」

 

朝目覚めると「地下」に落ちていた超能力少女リンと、《太陽》を宿す謎の男クロガネがの冒険活劇。やや詰め込みすぎな感はあるが、それぞれの理由で「天井」を目指すストーリーは一本筋が通っててしっかり読ませてくれる。

石川賢ばりの荒々しいタッチとベタ塗りで描かれる、動きのあるアクションシーンが特徴的。機械と肉が融合したような異形がたくさん登場するのだが、ソリッドさと同時に筋肉の動きが伝わってきてたまらない。特にクロガネの跳躍する様は、上を目指すというテーマとも合致してて見てて気持ちが良い。

あとヒロインのリンの造形が素晴らしいね。三白眼(四白眼?)がいい。瞳の大きさや向いている方向でその場面ごとの意思がはっきりと伝わってくる。普段は地下世界の黒に溶け込む黒のセーラー服に目が映えるって言う構成で、力が解放されると全身が白に染まるという解放感。