それでほんとに納得できる?

ドラクエI堪能中、操作への酷評に「老害」という言葉を初めて感じた - 乱れなよ、そして召されなよ

言うまでもなくゲームは様々な障害をクリアしていくのが楽しいものだ。だが、その障害が何であっても楽しめるというわけではない。不適切な障害はただの苦痛でしかない。ゲームにおける障害の適切さは、その障害が高いか低いかで決まるものではない。その障害にプレイヤーが納得できるかできないかで決まる。

例えばマリオやドンキーシリーズのようなジャンプアクションゲームについて考えてみよう。ジャンプアクションでは水中・氷上・アスレチックといったような、通常よりも操作が難しかったり、操作性が異なる面がよくある。しかしプレイヤーはそのことに不満を感じない。なぜなら絶妙な操作で障害を切り抜けていくのがジャンプアクションのキモだからだ。そこに文句をいうならそもそもそのゲームをやる意味が無い。

魔界村シリーズやプリンス・オブ・ペルシャのように一度ジャンプすると空中で操作できないジャンプアクションもある。だがプレイヤーはそのことに納得できる。そもそも人間は一度ジャンプすると空中で方向転換出来ないのが普通だからだ。

だが、ジャンプの軌道が固定されているといっても、右に2進んだ後左に1戻るような軌道のジャンプを強制された場合はどうだろう。マリオシリーズなら右におもいっきりジャンプした後左を押せばそのような軌道のジャンプは出来る。しかし強制された場合、おそらくプレイヤーは納得出来ないだろう。現実にはそのようなジャンプはありえないし、そのようなジャンプを強制される理由が見えないからだ。

次にFPSを考えてみよう。FPSで無防備な銃のリロード中に敵が現れて被弾すると非常に腹が立つ。しかしプレイヤーはそのことに納得できる。銃にリロードがあるのは当然のことだし、リロードのタイミングを考えることで危険を減らすことができる。

しかし、これが銃のジャムの場合はどうだろう。銃のジャムは現実にも発生するが、プレイヤーにはいつ発生するのか分からない。ジャムを防ぐには銃をよく整備するぐらいしかないだろうが、ゲームの中でわざわざ銃を分解してクリーニングするような作業をしたいだろうか。結果として多くのFPSでジャムというシステムはない。

 

さて、それではドラクエでの半キャラ移動という障害はどうだろう。

実際のところ半キャラ分の調整をするというのはそんなに手間でもないだろう。慣れれば簡単にできるようになる。

けど、本当にそんな操作がしたいか? アクションゲームではないRPGで?

複雑なダンジョンや強大なボスキャラに立ち向かうのであれば納得できる。それが普通の人間がRPGに求めるものだからだ。けれどRPGで移動というのは本質的なものではない。思った通りのところに過不足なく行ければそれでいい。

さらに半キャラ移動はゲーム中何の役にも立たない。製作者側の立場にたってもこのシステムを導入するメリットが見えない。

それでも、FC版の初代ドラクエ、シリーズの1作目でこのシステムがあったなら、みんな面倒くさいとは思いつつも大きな不満の声は出なかったかもしれない。

けど、これは2013年に出たリメイク作品だ。初代や過去のリメイク作、また同時代の他のスマホゲーはもっと操作しやすかった。なのになぜ、今この作品で不便を強いられなければならないのか。

本当にこのシステムを「ゲームに障害はつきものだ」として納得できる?