夜と闇の溶けない世界 模造クリスタル「スペクトラルウィザード 最強の魔法をめぐる冒険」

 

 増田とid:AQMさんの評を読んでちょっと言語化したいと思ったので残しておく。

この物語の登場人物たちの多くはそこそこに善良で、そこそこに信念をもって行動している。唯一の例外は世界をリセットしようと暗躍する前騎士団長なのだが、彼の印象は恐ろしく薄い。彼を止めようとみんなが動いているはずなのに、どこかかみ合わない。上手く行くわけでも、決定的に対立して崩壊するわけでもない。世界は優しく残酷に、変わらない。

前回も夜の物語だったが、今回さらに南極をメインの舞台に一つの物語を展開したことで諦めに満ちた静謐さがより強調されたように思う。

ただ、もちろんこのマンガはその中に一筋残る人間性の話でもある。同作者の「黒き淀みのヘドロさん」は、似たようなテーマを描きながらバランスが結構違う作品なんだな、と改めて思ったり。

 

黒き淀みのヘドロさん 1 (it COMICS)

黒き淀みのヘドロさん 1 (it COMICS)

 

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