ツナミノユウ「つまさきおとしと私」

 

つまさきおとしと私 (KCx)

つまさきおとしと私 (KCx)

 

 最初から読めば咲ちゃんがどの時点からおかしくなったのか分かるかと思ったのだが、2話の時点で既に異常者だった。2話の時点の妖怪しゃがみ女だった。ナチュラルボーン異端がたまたまとし君と出会ったことによって赫奕と輝きだしたのだろう。

それでもターニングポイントがあるとしたら、13話でプレゼントされた背負いかごについて、14話でとし君がお礼を言ってしまった辺だろう。「妖怪」と「観察者」(2話)から踏み越えた、双方向の関係性が生まれてしまった。というか、逆転してしまった。お話的にもこれ以降、とし君がターゲットを見つける前から咲ちゃんが行動を起こしている気がする。

その前の12話でとし君がレゾンデートルで悩んでいるのだが、妖怪って大体単機能だから存在理由で悩んだりしないよね。妖怪天井なめは、天井のシミから逆算された天井を舐めるだけの存在であって、それ以上でもそれ以下でもない。とし君といる時の咲ちゃんの傍若無人ぶりと、私生活ではおそらく空気のように存在感がなさそうな感じはまさに妖怪である。

あと咲ちゃんは目が怖い。まず表紙にもなってる普段の3重同心円型ぐるぐる目が大概怖い。この作者は他のキャラもぐるぐる目で描くことが多いみたいだが、咲ちゃんの感情の変化によって同心円の数が増えるので、単に一般的な目としてぐるぐる目を使ってるわけでもなさそうである。

そんなことを考えながら読み進めていると、本の後ろのほうでは明らかに同心円の密度が増えている。怖い。瞳孔が開ききって真っ黒になったり、逆に白くなったりかすれて目がハートになったりもするのだが、どれも怖い。

けど単行本描き下ろしの目を閉じて笑ってる時は超絶美少女(21話と22話の間)なので、みんな単行本を買おう。タイトルのどこにも①とか付いてないから、続きが出るかどうかは多分マジで売れ行き次第だぞ!