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人間関係から見るがはこ(高津カリノ)作品

マンガ

がはこ(高津カリノ)の作品(ブタイウラ・ワーキング猫組・ワーキング犬組)の人間関係には面白い特徴がある。恋愛要素を含むコメディタッチの4コママンガでありながら、三角関係がほとんど登場しない。男女カップルが作品の枠組みとして確固としてあり、その関係性が発展していくことを中心に話が進むのだが、カップルの関係を壊すような第三者がほとんど登場せず、恋のさや当て的な話はほとんどない。原作者にして(少なくとも商業デビュー後におおっぴらには)二次創作をしていないにもかかわらず「カプ厨」呼ばわりされることもある所以である。各作品を主要登場人物とともに見てみよう。

  • ブタイウラ

ヒシン:主人公

ルース = セリアー:ピエロ(爆弾魔)とお姫様

アレス = リナカ:医者と血まみれヘビつかい

「関係性の発展」とか最初に書いたがブタイウラにそれはほとんどない。ルースとセリアー・アレスとリナカのカップルは登場時点でほとんど関係性が固まっている。社会性皆無の女の子とそれを守る男の子という関係だ。この4人は互いに幼なじみで結びつきが非常に強く、強烈なキャラで話を動かす。主に一見普通にみえてセリアーを守るためなら些細なことでも手段を択ばないルースと、ボケボケで明るいリナカが話を引っ張る。割とわがままなヒロイン役のセリアーと相対的に常識人なアレスがその脇につく。

そういう構成なので当然ヒシンは作者が自分でネタにするぐらい影が薄い。強固な4人の関係性に全然入っていけてない。二重人格で裏人格は凶暴という設定のくせに裏人格でもルースに勝てないというヘタレぶりである。読者視点に立つという役回りであれば必ずしも主人公に存在感がある必要はないのだが、やっぱり影は薄い。

  • Working!!ウェブ版(猫組)

東田大輔 = 宮越華:主人公(新入りバイト)とフロアチーフのヤンキー娘

足立正広 = 村主さゆり:気弱な善人と霊感娘

進藤ユータ = 鎌倉志保:債務者の息子と債権者の娘

ほかにもメインキャラはいるが、この3組のカップルを中心に話が進む。3組とも物語開始当初は恋愛関係になかったところから、さまざまイベントを経て終了時にはかなりふかい関係性になる。進藤ユータと鎌倉志保以外の2組は開始時にはそもそも関係性が希薄だが、それでも作者はかなり早い段階でカップルになることを決めていたように見える。

特に東田大輔(ある程度普通な無個性主人公→人非人・鉄面皮)と鎌倉志保(ドS→ボケボケデレデレ)は関係が変わると同時に人格まで当初からかなり変わっている。制約のないウェブでの長期連載だからキャラがぶれただけとも言えるのだが、この作品の面白さの一つになっている。

ただ、カップル同士の関係性が強固で他キャラや他カップルとのからみが難しくなっている。序盤はファミレスを舞台にしたホームコメディとしての趣が強いが、後半カップルだけの話が増えていく。特に多分作者が気に入ったのであろう足立と村主の話は多い。

小鳥遊宗太 = 伊波まひる:主人公とボコデレ

佐藤潤 = 轟八千代:常識人と天然刃物

相馬博臣 = 山田葵:ゴシップ好きの兄と妹

種島ぽぷら:みんなのマスコット

まひるのことを好きになるもののすぐに諦めて当て馬以上の関係にならない山田桐生と、八千代と深い関係にあるが恋愛とはまた違う白藤杏子がいるものの、話を動かすのはやっぱり3組のカップルである。相馬と山田の関係は他の2つより多少弱いけど。

しかし猫組との一番の違いとして種島ぽぷらの存在である。宗太は小さいもの好き、佐藤にはいたずらをされる、まひる・八千代・山田とは仲の良い友人で、相馬ともことりちゃんの写真をもらったりして敬遠せずに話しかけるなど、ぽぷらは全員と恋愛ではない関係を持っている。カップルの仲を進展させるきっかけになったり、他のキャラを絡めるきっかけになったすることで、人間関係の接着剤となり閉じた関係にせず物語に広がりを持たせているのである。サンキューポップ、ラブリーポップ。

また、ぽぷらが絡まないところでも各キャラの仲が猫組と比べて良いように見える。商業連載にあたって、話を作りやすくするための工夫だと思われる。

 

そんでもって新作のサーバント×サーバントではカップルが1組だけかと思ったらアンブッシュでもう1組登場したり、ぎゃくになつめネットでは幼なじみカップルが1組だけで今のところ他には成立しなさそうという状況になっている。

どうでもいいですが、物語の作り方として3作を比較すると犬組はよくできていると思いますが、僕が一番好きなのは猫組です。

高津カリノ先生のご健康とますますのご活躍をお祈りしております。